2011-12-14

祖父のタキシード



少し前の出来事ですが、帰宅すると自宅に大きな荷物が届いていました。中には年季の入った英國屋の衣装箱がいくつか。カドもぶつけたり剥落していて、かなり昔のもののよう....




ぼろぼろの箱を開けると出てきたのは、沢山のオーダースーツと、フレンチメゾンのタキシードに蝶ネクタイ、クロスタイにカマーバンド。何と数十年前に祖父が着用していたタキシードや小物達だというのです。

家族に聞いた話ですが、真珠の宝飾ビジネスを手がけていた祖父は、サロンでパーティ等を開催し(今で言う催事でしょうか)このタキシードを纏ってマダム達をおもてなししていたのだそう。祖父が亡くなった時、形見分けで遠縁の親族の所に渡ったものの、当時はさすがに普段使いできるアイテムではなかったせいか一度も使われずに仕舞われており、今年になって私の手元に届けられたのでした。





私が大きくなる頃に祖父は既に引退していましたので、華やかなタキシード姿を見た記憶は残念ながら残っておりませんが、香水を好んで使っていたり、大柄のスカーフやタイ、帽子やステッキを幾つも持っていた "伊達男" のイメージは子供心にも何となく残っています。存命だった頃には、まさか私が自分でアトリエを開くとは夢にも思わなかったであろう祖父の小物達を身につけて、私も顧客様をお迎えしてみようかしら....*